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誰にとっても失敗は怖いもの。「できることならチャレンジせず、現状維持でいきたい」と考える人は、決して珍しくないだろう。本特集では、現役の自治体職員が経験した“しくじり”と、そこから得た気づきをご紹介。
今回のテーマは「イベント」。入庁して数年、経験が十分でない職員が新規イベントを任されたらどうすればいいのか。突如として現場を任されることになった佐藤さんが、どのように挑み、苦い経験を糧にしたのか、当時のリアルな体験を振り返る。
※掲載情報は公開日時点のものです


入庁後、最初に配属されたのは農業関連の部署で、農業後継者の協議会などを担当しました。
でも、農業については素人だったので、専門的な話は全く分からない状態。もどかしい思いをしながらやっていました。そんな中、3年目に農業体験講座を実施することになったんです。
早速、上司が地元の農業法人に協力を依頼し、体験希望者を受け入れることが決定しました。私はその法人とやりとりしたり、募集をかけたりと、実施に向けて準備を進めました。どれくらい人が集まるかな?という感じで。そうしてフタを開けてみると、集まった参加者は、2人という結果でした。

その法人は野菜全般を大規模に生産していて、少人数だったのが余計に寂しく感じられました。私も上司も「最初だから仕方ないのかな……」と。参加者にも、ご協力いただいた法人にも申し訳ない気持ちでした。
それでも、1年サイクルの企画をスタートすることになりました。参加者のお1人は農業での自立を考えている方、もう1人は実家が農家という方でした。2人とも企画のイメージにぴったりだったのですが……、長い1年の始まりでした。
初めての試みだったこともありますが、やはり告知の方法に課題があったと思います。今でこそ当市もSNSをやっていますが、当時は広報紙と公式ホームページ以外の手段がなく、認知を高めるには力不足だったのかもしれません。
はい。実は、私自身も農業体験に参加することにしたんです。農業は未経験だったので、「これを機に学ぼう」と考えました。
体験講座は週末に開催されていたので、1年間、週末はほぼ畑に通い、耕運機を動かしたりして手伝いながら勉強させてもらいました。実際、農業は楽しかったし、とてもいい野菜が収穫できました。また、その法人の人たちとも仲良くなりましたね。

それはありませんでした。自分が体験してみて分かったことも多かったし、イベント自体はとてもいい内容だったので。
上司が言っていたのは、「専門的な知識や技術はJAなどがやってくれる。自治体にできることは、就農希望者に最初の入口を用意することではないか」ということ。スタート前からこうしたマインドがあったので、継続していけば認知度も増して、徐々に人が集まってくるのではと期待していたんです。
翌年以降、徐々に人数は増えました。勢いがついたのには様々な要因があって、農業が社会的に注目されはじめたことや、移住ブームなどが追い風になったようです。また、公式LINEなどのSNSを活用したプロモーションの強化もありましたし、もちろん受け入れ法人の協力も大きかったです。

知らないことがあれば、現場に飛び込んで勉強するのが一番だと確信しました。失敗を恐れていたら何もできなくなってしまうので、「失敗するかも、でもなんとかなる」というマインドで、まずはやってみることが大切だと思います。
そうですね。新しい挑戦には、いつもワクワクします。そうした性格もあり、研修などはできるだけ受講するようにしています。今回の取材を受けたのも、同じような気持ちからです。
確かに、私の知る限り、制度や仕組みとしては用意されていません。だからこそ、日頃から色々な人の話を聞くことが大切だと思います。
あとは、様々な研修の機会を逃さずに、積極的に参加することです。研修では新しい知識や考え方を身につけられるだけでなく、普段関わることのない他部署の職員ともコミュニケーションできます。
たとえ研修のテーマが今の仕事に直接関係ないとしても、いつか役に立つかもしれません。私もジャンルを問わず研修に参加しています。
ある程度肩の力を抜くことが大切かもしれません。責任ある仕事をしていると、煮詰まったり思い悩んだりすることがあって、精神的に追い詰められてしまいます。時には「次の担当がもっとよくしてくれるかも」などと考えを変えるのもアリだと思います。
そして、分からないことは気軽に質問できる職場の環境が大事です。かくいう私も、たまにクサりそうになるときもありますし、やってみて「甘かった」と思い知らされることも多いですが(笑)。未来に期待をしつつ、日々頑張っています。
















