職員が内製できる電子申請サービス。申請後の対応までオンラインで完結させる。

住民生活

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自治体専用電子申請サービス

行政手続きのオンライン化が努力義務となって約4年。住民サービスの向上と、職員の負担軽減のため、申請手続きなどのデジタル化は加速している。そこで葛飾区では既存のシステムを見直し、職員が内製できる電子申請フォームを導入したという。

※下記はジチタイワークスVol.27（2023年8月発行）から抜粋し、記事は取材時のものです。
[提供]株式会社トラストバンク

庁内でフォームを内製できるから活用のアイデアや幅が広がる。

同区では、以前から電子申請システムを活用していたが、運用面で課題を感じていたという。「スマホでの公的個人認証ができず、マイナンバーカードの読み取りには外付けのカードリーダーが必要でした。住民が使う申請画面も分かりにくい上、フォーム一つ作成するにも、わざわざ委託業者に依頼する必要がありました」と、浅野さんは振り返る。

課題を解決しようにも、既存のシステムを改修するには年単位の時間がかかる。そこで新たなシステムの調達を念頭に、電子申請サービスをリサーチ。様々な製品を比較検討する中、「トラストバンク」の「LoGoフォーム」を見つけたという。同サービスは「スマホでの公的個人認証に対応しており、操作性も良かったです」と結城さん。専門知識がなくてもノーコードでフォームを作成できる上、自動集計やグラフ化などができる点にも注目したそうだ。

「これなら職員もすぐ使えるようになると思いました。コストは以前と変わらないのに、アンケートの自動集計機能など、効率化を促す機能が豊富。システムの代替にとどまらず、アイデア次第で活用の幅が広がりそうだと感じました」。トライアルを踏まえた総合的な評価の結果、令和4年1月から運用を開始したという。

住民の声が職員の背中を押して初年度430件のフォームが完成。

本導入以降は、証明書の申請やマイナンバーカードの受け取り予約など、様々な業務で活用。「特に利用が多いのは、講座やイベントの申し込みと、新型コロナ関連の申請です。療養証明書の申請では、2万4,000件以上を同フォームで受け付けました」。また、妊娠・出産・子育て支援事業の「ゆりかご葛飾」では、面接の予約に活用。保健師の在庁時間に合わせて予約枠を設定しているそうだ。利用者に妊婦が多いため、来庁時には一連の手続きをスムーズに行えるよう配慮している。

さらに「支払いの面でも便利になりました」と、八巻さん。以前はオンラインで受け付けた場合でも、支払いは休日夜間窓口やATMなどで行う必要があった。しかし、同サービスはクレジットカードによるオンライン決済に対応（別途要契約）しているため、フォーム上で全て完結する。こうして利便性が向上した結果、住民の利用も増加。年間10件程度だった課税証明書の電子申請は、同サービスを使いはじめてから1年間ほどで、利用件数が約15倍にものぼったという。「住民から好反応が得られると、職員のモチベーションも上がります。令和4年度だけで430件を超えるフォームがつくられました」。

双方向コミュニケーションによりまるで窓口にいるような対応を。

利用の拡大に伴い、住民や職員から“こういう機能があったら”という要望が寄せられるようになったという。そこで、新たに利用を開始したのが、新機能の“デジタル窓口”だ。同機能のポイントは、双方向のコミュニケーション。フォームで申請などを受け付けた後の事務処理まで、オンラインで行える。「申請内容に誤りがある場合は申請者に修正してもらったり、あるいは申請者の許可を得て職員が修正したり、まさに欲しかった機能が網羅されていました」。

また、フォームで受け付けたイベントなどの当落を通知メールで連絡することもできるようになったという。メールに会場の案内図を添付するなどの工夫で、電話での問い合わせが大幅に減ったそうだ。

「細やかなやりとりまでシステム上でできるのは、業務効率化の面でも大きいですね」と浅野さん。リリースされたばかりの新機能まで駆使して、日々進化している同区の取り組み。「職員一人ひとりが身近な業務を改善しようとする意識が根付いてきているように思います。今後は庁内業務の改善などにも、積極的に活用していきたいですね」と、同区の取り組みはまだまだ続いていくようだ。